コラム

基礎造形」顛末記

6月6~9日,三泊四日のスケジュールで岩見沢校の新入生合宿研修ともよぶべき「基礎造形」の実習がおこなわれた.今回は,その顛末を報告したい.
「砂浜でアートするんだ」,石狩浜で合宿だ」 私は,当日までそれしか知らなかった.
朝9時過ぎ,約60名の学生を乗せ岩見沢校をバスで出た.まだ残雪が見え隠れする峠を越えて1時間半.浜益という日本海の寒村に着いた.これまで北海道内をけっこう移動した気になっていたが,このあたりへは一度も来たことがなかった.まあ,北海道のひなびた海水浴場といったところですね.
メンバーは,女子学生46名,男子学生13名,教員15名だから総計74名の大部隊だ.
てっきり私は「サンドアート」をやるものとばかり思っていたのだが,それとは大分内容が違っていた.
この授業内容は,これまで数十年にわたって札幌校で実施されてきた内容である.だから,札幌校からの先生たち中心にすすめられ,私は,「フーン,なるほどね
」といった感じで眺めることの方が多かった.
ごく簡単にいえば,「6~7人がグループとなり,与えられたテーマを解釈し,現地にある材料を使ってアートする」ということになるかな.
では,そのあたりを詳細な写真付きで…


ガイダンス(岩見沢校)
朝8時半,今年の1年生約60名がアートファクトリーに集合.そこからバスで80分移動して浜益村に着いた.用具運搬には,2tトラックをレンタル.

浜益到着
宿泊先は3軒の民宿.
民宿「日本海」 は3階建て.浜益で最も大きな民宿だった.
スコップやじょうろなど,実習に使用するいろいろな道具類.

海岸に出て概要説明
1年生たちの多くが,これから何が始まるのやら分かっていない様だった.海岸のあちこちには大量の流木が…
さて,ことしの「お題」は次のようだった.
<自然の中に「
萌兆」をテーマとして,周囲にある種のの変化を及ぼす空間を造形せよ>
だって.

								
初日の午後はプランニング
各グループごとにモゾモゾっと話し合い.しばらくするとアイディアスケッチを持参してやって来た.
昨年の例など知らないから全くの手探り状態で考えてくる.どうやって・何を考えれば良いやらと,不安な面持ちでやってく来る.

プランニングに苦しむ
集団でおこなう造形活動もはじめてならば,野外でころがっている自然物を使っての造形なんかしたことない人たちばかりだから,奇怪なプランが示される.
初日は,こんな感じのプランニングチェックが夜11時まで繰り返された.

翌日(二日目)やっと外へ
二日目も午前中はプランニング.
3回ぐらいダメだしされてから,午後やっとOKを得たグループが喜んで海岸飛び出していく.

作業開始
やっぱり外にでると気持ちが良いらしい.動作も軽快だ.
 

二日目の作業終了
二日目は,ここまでの作業の再確認.夜8時半から10時過ぎまで,9つのグループが順次報告した.
宿は原則禁酒禁煙.
連日ハードなスケジュールが続く.

きんごろう旅館の食事は採算度外視だった教員10名が泊まったのは,きんごろう旅館.
80歳のじいさんばあさん2人でのんびりやってるおんぼろ旅館だった.
一日目はカニなべとミル貝,カニの下からはホタテ・ホッキ魚もぎっしり埋め込まれていた.海産物食い放題だ.

いい味出してる,きんごろうの親爺さん
二日目の夕食はウニ丼と焼きホタテ.金粉入りの一升瓶飲み放題.親爺さんは,耳は遠いし動作もコアラのように緩慢だ.爺さん来年までもつかな?

3日めはイクラ丼
三日目の夕食はイクラ丼と煮魚ツブ焼きさしみホタテ汁.四日目の昼は民宿日本海の海鮮丼とカニ汁.連日の海のもの攻勢には大満足だった.

大物が姿を現してくる
3日めは朝からあいにくの雨.断続的にふりつづく冷たい雨風の中作業は続けられた.

 

広大な砂浜も狭く見える


着々と制作が…

 

雨の中も作業はつづく?

 

慰問団も登場
浜益名物「ジャンボどら焼き」と暖かな飲み物を携えた慰問団登場.彼らは札幌校の上級生だった.

仕上げに向かって勢いづく

 

次第に手が込んだ表現も

 

最終日,いよいよ仕上げへ

 

講評会開始
最終日(4日め)の午前後半は講評会.講評は,9つの制作物を順にめぐりながら進められた


各班ともに満足そうだ
自分たちのコンセプトと感想を述べ合う.

 

講評会も大詰めだ

 

昼食の後は片付け作業

大きな穴ボコを埋めるだけでも大変だ

 

山を崩し,木を倒す

 

戦い終わった感じだな

 

荷物をまとめてお疲れさま
 

感想
今回もっとも感じたことは,学生たちは皆スゴク真面目だったということ.
延々とプランニングさせていく中で,
バカらしくなって,スネテ,フテクサレル輩が出るだろうと予想したのだが,
誰一人ゴネたり逃げ出したりしなかった.
プランチェックでいじめられても,一生けんめい考え続けるし,真剣だった.
なぜだろう?と不思議に思うほどだった.

そして,札幌校や岩見沢の先生たちもすごく真面目に取り組んでいることにも驚いた.
学生数が多くなればけっこう手を抜かなければやっていけないだろうと思っていたのだが,
全く手抜きなしで学生を締め上げていく.

そういえば,先日の会議の中で,こんな報告があった.
「岩見沢の美術コースの教員数は,国立大学では,東京芸大,筑波に次いで
全国で3番目の規模ということになる」
もちろん公立大学ではもっと大きなものが幾つもあるのだが,そういえば国立ではそういうことになるのか… と,皆でフーンと関心してしまった.

今回参加した美術コースの学生数は60名だった.
4年後には4倍になるから240名だ.芸術文化コースも4年後には100名ぐらいになるから,
全体では350名ぐらいになるだろう.
個々の授業や実習の進め方にしても,
あらためて考えなおして対応しなくてはいけないのかな?と感じた次第だった.


さてと
はや6月も中盤です,
6月中にもう一本コラムを書くのはしんどいから
今号のコラムは6・7月合併号として発行しました.
だから次号は8月はじめの発行となります.

7月後半には岩見沢で2週間の集中講義がある.
だから次号はその報告ですね.お楽しみに.

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