WEB-ATELIER通信

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                                                             コラム更新日2005/09/27

2005年 10月 

    
   
    今月のコラム    


    初秋のころ(その2)

写真上:9月24日撮影
A709室からグランドをのぞむ。澄み切った秋空の下、左側ラグビー場と右側にトラックがみえる。


 どこが変わった? 
今回は写真から。
上の写真は、釧路を離れた卒業生のみなさんにとっては懐かしい光景のことでしょう。仏舎利塔から北陽高校あたりの様子はほとんど変化がありません。
ところが、
ひとつ大きく変わったところがあるのですが、お気づきでしょうか?
そうです。あの大学のグランド(右側グリーン)が、グランドらしくなっているのです。10年程前からでしょうか。体育のドン、藤井先生がいなくなった頃から、グランドは手入れする人も無く草は伸びて荒れ放題。水溜りはできるは不法投棄は始まるわ。400メートルトラックなど、いったいどこにあったのかと思わせるほど。
いったん野生化が進むと手入れは至難の業。ついに大学としての施設計画でも、
「ビオトープにすることにしましょう」ということになった。
ビオトープといえば聞こえは良いが、何のことはないただの
ホッタラカシ原野のことだ。
さて、そんなお手上げ状態だったグランドが、それらしく復活することができたのは、なぜでしょうか?

右に、四角部分の拡大写真を載せました。
ナント、
パークゴルフ場ができてるじゃありませんか。
この程度のパークゴルフ場を整備するのでも、除草して整地して…、数百万円かかるそうです。

じつは、このパークゴルフ場は、いつの間にかできてしまったということなのです。

数年前から、体育科が大学の地域貢献活動・健康指導と称して、高齢者へのいろんなスポーツ教室を開催していたのですね。そしたら、大学周辺のご老人たちが、
お礼にといって、グランドのゴミ掃除や草刈をやってくれるようになったのです。やあ、おかげでさっぱりしましたね。とかいってるうちに、気がついたら、いつの間にかパークゴルフ場が作られて、早朝からじいさんばあさんが
パッカン、パカン
と玉を打ちだしてしまったそうなのです。
で、まあいいか、ということで今に至っているわけです。恐るべしシルバー世代ですね。


採用試験が終わりました

過日、近隣で臨教を始めたKさんが研究室に来た。
「採用試験どうだった?」
「落ちました。…もう教員はあきらめました。向いてないように思います」
「学校はたいへんなの?」
「授業崩壊してます… 」
「…」
「釧路にはたまに来るの?」
「毎週、来てますヨ。同級生と会ってウサ晴らしてます。」
そう言った時だけ、昔のような明るい目つきが蘇ったようだった。

たしかに、Kさんが勤めている中学は漁師町で、かねてより荒れていることで有名だった。しかし、その後一旦収まったように聞いていたのだが、やはりなかなかのようだ。半端な気持ちでは勤められない学校も、まだまだ多くあるようだ。

今年の採用試験、一次はややUP

今年の釧路校の学部の一次合格者は45.13%(昨年39.74%)、大学院は45.45%(昨年47.05%)。学部・院平均は45.16%(昨年が40.46%)。だから、昨年よりは若干UPしているようだ。でも、2次の合格者は、昨年は、学部が14.7%、大学院が29.4%で、平均が16.2%と、もうどうしようも無い状況に陥っている。

今年の釧路校からの中学美術の教採一次合格者は2名だった。昨年度は道の美術の採用者は6名だったから、2ケタだった数年前と比較しても厳しくなったものだ。

  就職情報です

ところで、今年は私は就職対策委員だから、先日は釧路教育局や市内の校長会にあいさつがてら情報収集に出向いたのです。久しぶりの外回りだったけれど、教員採用に関する現実的な状況をうかがい知ることができました。
そんな話の中でも、「
中学の
芸・体は、免許一本ではダメだよ。2種でいいから他にも何か免許もってないとね。」と明言された。

「最近は、少人数授業実施のために、数学の採用が多いから、主免に加えて数学の2種免許でも持っていると良いよ。英語も採用が多いけど」という話だった。しかし、数学や英語が得意だったら、美術専攻なんかに来てないだろうから、このアドヴァイスはあまり現実的ではなかったな。

特別支援をすすめているから、養護の免許をとって、特学指導ができると良いよ。」これは、昔から美術の学生が有効に活用していた方法だ。釧路養護は、特別支援センターになる予定だし、特殊教育は今後のねらい目のようだ。

ほとんどの校長先生たちは、毎年採用試験の面接官を担当しているわけだが、彼らの話の中で一番面白かったのはこんな話だ。

「どうしてこんな新採しか選べないのか?校長たちの選考の仕方に問題があるんじゃないの?」って、校長先生たちは、現場の先生たちから文句言われてるんだということだ。

「たしかに、採点してるのは私たちだけど、そんな私たちですら、どうしてもっとまともな人を採用できないのか?実は不思議なんですよ」って言っていた。

つまり、これだけ厳しい試験状況の中をかいくぐり、パスした「優秀なはず」の人たちが、実は
そんなに優秀でもない」という現実があるというのだ。

そう言われてみると思いあたるところがある。
今年、教育実習の研究授業に小学校に行った。研究授業を見に来ているその学校の、若い先生たちの行動が変なのです。私も校長も担任も、イスが無いからずっと立って参観していたのだが、途中からやってきた二人の若い女性の先生たちが、途中から
座り込んで」しまったのです。ちかごろ目にするようになった道端で「しゃがんでいる」あのスタイルですよ。
…ナ、なんなんだこの人たちは?」と、私は唖然とした。

「オイ、おまえたち、校長をさしおいてしゃがんでるのは失礼だろ」って言ってやろうかと思ったほどだった。

彼女らがどんな顔つきしてるのかといえば、至ってフツーのどこにでもいるようなネーチャンだ。こんなのんびりした顔つきで採用試験を良く受かったもんだ??と不思議に思ったのです。校長が非難されるというのは、たぶん、こうしたネーチャンを、どうして採用したのっていう先輩教師の嘆きなのだろう。それならば意味がよく分かる。

校長たちの話を聞いていたら、教員採用試験も、実は大学入試とおんなじだってことが、だんだん分かってきた。一次のペーパーテスト、そして二次の小論文と個人・集団面接を乗り越えた人たちが、「能力無くて困ったもん」だって言われてる理由は単純だ。

つまり、この試験を通る人たちは、徹底的な「受験」対策や「受験トレーニング」で乗り越えてしまったのです。大学受験で鍛え上げた受験テクニックを、教員採用試験にも活用し、傾向と対策によって次々とクリアーしてきてしまった人たちなのです。だからいわば、人間本来の能力自体、あるいは教師に向き不向きに関係ないトコロで選別作業が行われているってことになるのです。

ところが釧路校の学生たちは、もともと受験テクニックのヘタな人たちばっかりの集団です。受験勉強ベタなんだから、採用試験の受験トレーニングもヘタなんです。だから、都市部にいて、○○アカデミーなんかの塾に行ったりして、徹底的に面接や小論文の特訓を積み重ねてきた人たちに易々と負けてしまうのはあたりまえの理屈です。もちろん、昨年合格したタマちゃんなんかは、圧倒的な能力があったから、トレーニングなんかしなくてもらくらく合格したはずだけど。

あんまり頭よくなくても、意欲があって、人間性ある、教育現場にホントに役立つ人材を望んでいるのなら、大阪府のように、3000人も受験者がいようとも、1次試験から全員面接やるような、受験の変革をしなきや、北海道の状況はいつまでたってもかわらんだろう。

そして、これが結論になるんだけど、私が見たようないい加減な人たちが採用されているような現状ならば、釧路の学生たちだって、早くから準備して、小論文や面接などの受験テクニックを目いっぱい磨き上げれば、それなりに合格してしまうだろうってことなのです。

就職対策委員になって約半年。その間に見聞きして考えたことの結論として、教員採用試験は困難な試験ではないことが分かった。必要な対策を講じれば良いだけの話だ。
つまり、一時のペーパー試験がクリアーできない人は、基本的な知的資質として
問題外だから除外するとして、二次試験の小論文と面接は、トレーニング次第でなんとかなる代物です。釧路校では、だいぶ前から、数学科が団結して面接トレーニングをして効果を発揮していたが、その後、理科や体育がそれに続いて、とくに集団面接の練習にいそしんできた。約2ケ月そんなレッスンを繰り返していると、未経験者が入り込む余地が無いほど圧倒的な差がついてしまうということだ。とはいえその結果、あんまりまともな人格を持ってない人もパスしてしまうってのは問題ですけどネ。


特別編         
私の道央移住大作戦
その

マンションというものを研究するの巻

前回は、岩見沢の街を見たのだがチョットこれは…ということで、札幌に戻りマンションを見てみようってところまでだった。今回はその続きです。

さて、岩見沢の街の状況がそんなこともあろうかと、家内は数ヶ月前から札幌のマンションに関する諸情報をネットを通じて入手していた。最近のネットの充実振りは目を見張るものがある。特に高額な商品に関してはあらゆる新技法を駆使して作成されているので驚いてしまう。中でも車メーカーのサイトでは、次々と画面が切り替わり、まるで動画を思わせるような不思議な感覚の見せ方を導入している。マンション販売は車よりもはるかに高額商品だから、やはりトップページなどはすごくゴージャスだ。そして綺麗に撮影された写真が満載で物件の内容がすごく分かりやすく掲載されている。

ところで、これまで私はしょっちゅう札幌に出張していたものの、マンションというもの自体を自分の住居として考えたことはなかったから、札幌市内にどの程度の数のマンションが建設されているかなど考えたこともなかった。しかし、その気になってあらためて見渡してみると、これでもかって言うほど多くのマンションが建設されていることに初めて気づかされた。とくに地下鉄の駅の近隣には、必ずマンションがボコボコ建てられているじゃないか。

 でも、しかし、家内による賃貸マンション情報によると、月家賃が10万円以下の物件ではまともなところはほとんど無いようだ。月額10万としても、1年で120万、10年で1200万だ。私は最低13年住むことになるから、それなら新築を買って中古で売りさばくのと変わらんのか??その辺はよく分からんから置いといて、とにかく、最近のマンションとはどういうモノなのかは、実際に見てみなくちゃ始らない。

建築関係も銀行同様で、やはり三井、三菱、住友… といった旧財閥系が顔を連ねている。これらの大手企業が手がけている物件は、いわゆる「高級物件」だ。その下に中堅クラスのもろもろ建設業がいっぱいある。今回の目的はマンション研究だから、ハンパな中堅レベルには目もくれず、高級新築物件と言われるものが、いったいどの程度の代物なのかを調べてみた。

で、最初に覗いてみたのが東札幌の「たわー」だった。東京でもそうだが、最近は都心のど真ん中の超高層マンションが人気のようだ。札幌にも高層マンション、いわゆる「たわー型マンション」が続々と建てられつつある。ということで、げんのもんじゃけ、ここはひとつ覗いてみたわけだ。

案内図に従って行ってみると、おや、ダイエーの駐車場脇に2階建てのプレハブ小屋があるじゃないか。そこに「○○たわーモデルルーム好評公開中」の横断幕が貼り付けられている。

実は私はかつて一度だけマンションのモデルルームを見たことがあった。それは、約18年前、大学から学生寮に向かっていったところにできることになった「鶴ヶ岱ハイツ」のモデルルームだった。そこで見たものは普通の建売住宅のコンクリート版みたいなものだったから、「なんだ、マンションってこんな程度のものか」って思ってしまっていたのだが、今回見たモデルルームは「良くできていた」

外見は工事現場のプレハブだが、中に入ってみると3LDKの標準的な売り出しサイズの部屋がしっかり作ってあった。しかも窓の部分からは夜景が見える。一瞬20階あたりの夜の部屋に入り込んだような錯覚に陥った。「おお、これがモデルルームというものか。なかなかゴージャスじゃないか」正直そう思った。

ひとわたり見渡したあとで、入り口脇の商談スペースに戻り、図面や価格表をもとに説明をうける。「え、そんなに安いの?」と、つい言ってしまったほど、手ごろな価格だった。「はい、この物件は再開発事業ですから、国からの補助があります。だから大変お安くお求めいただけます… 

こうやって、モデルルームを見てそれから結構安いよとかいわれて、ついその気になってしまう人もいるんだろうなと思った。

でも、私はモデルルームに使われていた部材がだいぶ安めの合板だったことに気づいていた。夜の設定だから暗めに設定されていたから、最初はわかりにくかったけれど、アレ合板が?と気づいてから目をこらすと、見かけは一見立派なんだが、いろんな部材に問題ありってことが次第に見えてきた。
そうか、なかなか上手く作ってあるもんだ。じゃ、次いってみよう。

2日間で7箇所ぐらい立ち寄ったけれど、中でも一番ビックリしたマンションについて書いてみる。
「アレ…何なんだこれは?」
ススキノに近いとろで、
異様に巨大なコの字型のビルジング群を発見した。
こんな巨大なマンションってあるのか?」
と、周辺をうろうろしていたら、そのうちに理解した。「あぱ」って聞いたこと無いですか?
帽子をかぶって派手な装身具をまとったおばさん社長がCMしてる、あそこですよ。
「おお、これがそれか?ぜひのぞいてみよう」
とは言えども、すごく広いからエントランスに入っても文化会館のロビーみたいにがらんとしてて人がいない。受付のインターホンで呼び出して案内してもらう。
「何戸ぐらいあるんですか?」
「400…」
と言ったと思う。
関東以北、最大のマンションですから
廊下を歩くと、ベビーカーに赤ん坊をのせた夫婦と次々とすれ違う。エレベーターに乗ったら、小型犬を抱いた年配のオヤジが話しかけてきた。これじゃ
まるで公園を散歩してるようじゃないか。
私は、
ムッとした。
温泉つきですから、いつでもお風呂に入れますよ」私はそんなに風呂好きじゃないから、温泉なんかいらない。
あまりに広いからエントランスからモデルルームまでが遠いことこのうえない。使用部材はすごくいい加減だ。各部屋に設置されている暖房用のスチームがでかい。
「スチームがじゃまですね」といったら、
温泉をつかってますから」
ということだ。こんなのもういやだ、と思ったが、一応事務所で値段を聞くことにした。
いい加減なつくりだから、安いんだろうと思ったら、少しも安くない。
「結構な値段がするんですね。」といったら
温泉つきですから
そればっかりじゃないか。
「購入された方には
スクラッチくじで、300万円が当たる特典がありますから」だって。
「あぱ」は、
いったい何考えてるんだ

やっと抜け出してから、家内に言った。
「とんでもないとこだな。ああいやだった。」
「あんたが途中から、すごくいやがってたのがよくわかってたよ。でもね、こういうところがいいって人もいるんだよ、それでね、エレベータに誰が乗ってくるのかわからないような大所帯のマンションがどういうものか良くわかったでしょ。」
「ああ、わかったよ。おまえが大きなマンションはいやだって言っていた意味がよくわかった」
体験してみるもんだ。
一口にマンションといってもいろいろある。これはちょっと気を引き締めなきゃいかんなと思った

次回につづく

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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