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 コラム目次へ        コラム更新日2007/9/2

2007年 今月のコラム 

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8月

今年の夏は、暑かった。
とにかく暑かった。
6月・7月と快適な気候が続いていたので少し油断していた。「こんな程度なら札幌の夏も大したことは、ないな… 」そう思っていた矢先、
8月に入ると、突然しかも急激に暑い日々が始まった。昼間33度、蒸し暑い、夜になっても30度、蒸し暑い
これまで、涼しすぎる程の釧路の夏に慣れていた身には、久方ぶりに参りました。
各地で40度オーバーの記録だという。
確かに温暖化傾向には拍車がかかっているようだ。
この調子ならば、釧路は今後、絶好の避暑地になりうる可能性がありますね。幣舞橋脇に新設された「リゾートホテルVISTA」がほんまものの夏のリゾートのメッカに成りうるかも知れないね。
高い空にウロコ雲が広がるようになってきた。
さあ、秋だ

IWAオープンキャンパス2007

8月11日、岩見沢校オープンキャンパス。
昨年は、最初に参加者全員が集合した中で、副学長挨拶、コース長挨拶、カリキュラムの説明、入試の説明…と、お客さんはズッと座りっぱなしのセレモニー的企画であった。
しかし、今年はそれを大胆に改変し、集合説明なしの屋台形式に変更した

今年の主旨

通常使用している実習室を使って、専攻別に演習作品などを展示して、自由に見てもらいましょうというのが、ことしの趣向だった。

今年のめだま

めだまメニューはコレ。
「SL造形―爆走動画つきだ。
これは、1年生が6月に実施した「基礎造形」の授業で作成したものだ。約50人の学生が音威子府に出向き、3泊4日で作成した力作だ。

40メートル、実写動画

6名ぐらいが1グループとなり、8グループで分担し、SLが走る40メートルの線路わき世界を造形したものである。
今回は、線路をコトコト走るSLの先頭に、マイクロカメラを搭載し、無線画像送信システムをくみ上げた。
SL自体は、可愛らしくコトコト走っているのだが、プロジェクターに映し出された映像は、なかなかの迫力ものだった

各専攻紹介です
ここは工芸ブースです。右側が「木工」の木彫作品、中央が「陶磁」、左側が「金工」。
普段ならば、この実習室は足の踏み場も無いほどなのだが、さすがにこの日は片付けられていましたね。

彫刻ブース

彫刻担当の教員は2名、二上先生はここの担当です。

絵画専攻ブース
絵画専攻には、日本画1名・油彩3名の計4名の教員がいます。ここに写っているのが1・2年生の実習作品です。
右下は、7月に私が行った1年生実習の一部を展示したものです。

 

もうひとつの目玉

今年は、初めて過去の入試実技作品を展示した。
実際に行われた実技作品を見せてほしいという要望は、以前からあったのだが、諸般の事情で実施には至らなかった。だが、今年やっとそれが可能になった。
撮影禁止扱いだから、ここでは写真は黄色くして、展示状況だけ紹介しておきます。


でもやはり…
各ブースには2名ずつ学生を配置し、そして全般的な質問および、入試相談、さらには持参作品講評コーナーなども設けました。
しかし、お客さんたちの反応を見ていると、どうも自分から質問するのは気が引けるという感じで、自分がどうやって動いたら良いやら、ためらいがちでした。
「今年は、全体説明は、なし」
ということだったのですが、
「やはり最初には全体説明をやろう」
急遽、午後の部では左写真のように15分ほど、簡単な説明会を行うことに変更したのです。
このあたりの対応は、来年の課題ですね。


8月8日、高文連を見にいきました
市民ギャラリーで開かれた、高文連・石狩支部展、を見に行きました。高文連とは正式には「北海道高等学校文化連盟」と言う。これまで高文連は一度も見に行ったことがなかったのですが、札幌近辺は人口が多いせいもあり、
出品総数約900点と、とても盛会だった。
油彩画は上限が30号とに決められているため、同サイズの絵がズラリと並べられており、その異様さにギョッとした。

見はじめの頃には、すごく下手糞なものと上手なものとが入り混じっており、アンデパンダン的なのかなと思って順番に見ていた。しかしそのうち、展示作品の中には「入選作」というものがあることに気づいた。展示作品には何もしるしは無いのだが、最初に手渡されたペラを良く見たら120名ぐらいが入選としてリストアップされていた。

それに気づいてからは、作品とリストとを見比べながら見ていったから、すごく時間がかかってしまった。
1時間ほどかけてじっくりと見て回った。

感想
入選作は結構ハイレベルだと感じた。特に、種別がデザインのものに相当の集中力が感じられて驚いた。
油彩に関しては、基礎的な描写力が無いと、入選させてもらえないようだ。ただし、油彩で描かれているものの、油ではなくて、水彩やデザインとして描いた方が良いと思えるものが作品の3割りほどあった。

せいぜい出品数は400点ぐらいだろうと予想していた。だから、その倍以上が展示されていたのは驚きだった。しかし、こんなに多くの高校生が美術に関心をもっているのだと思うとすごく不思議な感じだ。彼らがその後も制作を続けていけるように支援するのは私たちの仕事なのかも知れないな、とも考えてしまった。

PS
私の知ってる範囲では、安藤、阿智2名が顧問名に乗っていた。成田という名も見えたが、アノ怒涛のナリタ君なのだろうか?
苦戦しました

I釧路のみなさんは、左写真をみればこれが何なのかわかるでしょうね。そう、幅120×長さ320センチの、アトリエにあった楕円テーブルです。

このテーブルは、14年ほど前の、釧路校の研究棟再建の際に、
「どうしても…ほ、欲しいのです!!」
と、無理を言って購入してもらった大事なテーブルでした。
しかし、
私の思いに反して、なぜかアトリエに置いてあった頃にはあまり愛好されなかった。
だんだん使い方が荒れてきて、テーブル面にカッター疵は増えるわ、赤ペンキは飛び散るわと、次第に無残な姿になりつつありました。

しかし、岩見沢への荷物移動の際に、わたしがどうしても運びたかったのがこの大ワークテーブルだったのです。

でも、この大テーブルは、購入時にアトリエで組み立ててもらった物ですから、そのままではエレベータに乗らない。かといって、7階から階段で降ろすには、このサイズでは大きすぎて踊り場を回り込めないのです。

意を決して、佐々木せんせいから電動ドライバーを借用し、分解に取り組んだ。さすがに工具オタクの持ち物だけあって、ドライバーは強力だった。しかし、問題は「なめネジ」だった。
組み立て時の、業者の雑な仕事のせいで、3個のネジ頭が「なめて」しまっていたのだ。ドライバーがむなしく空回りしてしまう。このままでは分解不可能だ!
「うーむ、だめかも」と思った。
札幌に戻り、ほーまっくで、一撃でねじ山回復が売り物という「インパクトドライバー」を購入した。

「うおーし今度こそ!」
翌週釧路に授業へ行った際に、再挑戦した。
しかし… こんな道具では、ねじはビクともしなかった。
「うーむ、だめかも」
再び頭を抱えてしまった。
札幌に戻り、あちこち対策品を探した。そして、びっくかめらで、今度は名称は不明だが、左写真のような最終兵器を購入した。
これは、つぶれたねじ穴のド真ん中にドリルで小さく穴を穿ち、その穴に左の金色棒の先っちょを強引にネジ込んで、電動ドライバーを逆回転させて、なめネジをひっぱり出してしまうという、単純ながら、その方法を説明するのが至難な道具である。

さてその翌週、釧路へ行った際に、うさん臭い気持ちの中で再々挑戦してみた。結果は、大感動だった。
なめネジが、スルスルと浮き上がってきた…オオっ。

というわけで、分解され2分割された天板は、アトリエの私の移動用荷物の奥に立てかけられたのだった。

結局、サンドペーパーによる天板磨きも入れると、一ヶ月にも及ぶ大仕事だった。

買った当時は25万円ぐらいだったこのワークテーブルは、今いったいいくらぐらいするものかと、ネットで探してみた、

しかし、この半分程度のテーブルはあるのだが、このぐらいの巨大サイズになるとどこのメーカーにも見当たらなかった。ひょっとすると、こんなものはもはや買うことができないシロモノなのかも知れない。

その後、8月28日に釧路の研究室とアトリエにあった私の機材や荷物が、岩見沢の研究室にトラック一杯届けられた。
大ワークテーブルは、岩見沢の私の研究室で再度組み立てられ、甦った。
今後は、学生に痛め付けられる事もなく、私が退職するまで幸せな余生を送ることだろう。

           おわり
次回はきっと、IWAアトリエ構築大作戦の報告ですね。