▼苦戦しました
I釧路のみなさんは、左写真をみればこれが何なのかわかるでしょうね。そう、幅120×長さ320センチの、アトリエにあった楕円テーブルです。
このテーブルは、14年ほど前の、釧路校の研究棟再建の際に、
「どうしても…ほ、欲しいのです!!」
と、無理を言って購入してもらった大事なテーブルでした。
しかし、
私の思いに反して、なぜかアトリエに置いてあった頃にはあまり愛好されなかった。
だんだん使い方が荒れてきて、テーブル面にカッター疵は増えるわ、赤ペンキは飛び散るわと、次第に無残な姿になりつつありました。
しかし、岩見沢への荷物移動の際に、わたしがどうしても運びたかったのがこの大ワークテーブルだったのです。
でも、この大テーブルは、購入時にアトリエで組み立ててもらった物ですから、そのままではエレベータに乗らない。かといって、7階から階段で降ろすには、このサイズでは大きすぎて踊り場を回り込めないのです。
意を決して、佐々木せんせいから電動ドライバーを借用し、分解に取り組んだ。さすがに工具オタクの持ち物だけあって、ドライバーは強力だった。しかし、問題は「なめネジ」だった。
組み立て時の、業者の雑な仕事のせいで、3個のネジ頭が「なめて」しまっていたのだ。ドライバーがむなしく空回りしてしまう。このままでは分解不可能だ!
「うーむ、だめかも」と思った。
札幌に戻り、ほーまっくで、一撃でねじ山回復が売り物という「インパクトドライバー」を購入した。
「うおーし今度こそ!」
翌週釧路に授業へ行った際に、再挑戦した。
しかし… こんな道具では、ねじはビクともしなかった。
「うーむ、だめかも」
再び頭を抱えてしまった。
札幌に戻り、あちこち対策品を探した。そして、びっくかめらで、今度は名称は不明だが、左写真のような最終兵器を購入した。
これは、つぶれたねじ穴のド真ん中にドリルで小さく穴を穿ち、その穴に左の金色棒の先っちょを強引にネジ込んで、電動ドライバーを逆回転させて、なめネジをひっぱり出してしまうという、単純ながら、その方法を説明するのが至難な道具である。
さてその翌週、釧路へ行った際に、うさん臭い気持ちの中で再々挑戦してみた。結果は、大感動だった。
なめネジが、スルスルと浮き上がってきた…オオっ。
というわけで、分解され2分割された天板は、アトリエの私の移動用荷物の奥に立てかけられたのだった。
結局、サンドペーパーによる天板磨きも入れると、一ヶ月にも及ぶ大仕事だった。
買った当時は25万円ぐらいだったこのワークテーブルは、今いったいいくらぐらいするものかと、ネットで探してみた、
しかし、この半分程度のテーブルはあるのだが、このぐらいの巨大サイズになるとどこのメーカーにも見当たらなかった。ひょっとすると、こんなものはもはや買うことができないシロモノなのかも知れない。
その後、8月28日に釧路の研究室とアトリエにあった私の機材や荷物が、岩見沢の研究室にトラック一杯届けられた。
大ワークテーブルは、岩見沢の私の研究室で再度組み立てられ、甦った。
今後は、学生に痛め付けられる事もなく、私が退職するまで幸せな余生を送ることだろう。
おわり
次回はきっと、IWAアトリエ構築大作戦の報告ですね。
|